2017年10月5日木曜日

日本政治史最大のアノマリーが起こるか?

アノマリーとは例外的事象のことである。特異値というのも可だ。

つまりアノマリーとは"anomaly"で"normal"ではないという意味だ。

どの国の政治でも同じだと思うが、政治家は国民に信用されなければならない。その理由は自明だろう。<信用≠期待>である点にも留意しておく必要はある。

希望の党を立ち上げた小池百合子都知事。今回の衆院選には立候補しないと断言している。断言もおろか「100パーセント出ない、それは最初から言っている」とも言っている。

ところが、小池女史の断言をまだなお疑っている人が多い。それでも出るのではないか。出るはずだ。そういうことだ。

これほど語る言葉が信用されていない政治家は初めてではないだろうか。

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信用されていないのは、「嘘」というと気の毒だろうが、極めて不誠実な行動を現にとっているからである。都知事の任期4年のうちまだ1年余しかたっていない時点で国政選挙にタッチするという行為を始めている。こんな計画は都知事立候補の際には小池女史は何も言っていない。ただ「都民ファースト」を連呼していた。故に、都知事の立場で政党の代表につき国政に関与すること自体、(多くの人が指摘するように)東京都内の有権者に対して極めて不誠実である。はじめから「嘘」をついてきた、嘘をついても平気なのだろうと、そう言われても仕方がない。嘘をつく政治家が信用されないのは当たり前のことである。

確かに政治には、特に選挙では権謀術数が当たり前だ。騙すことも許される。「死んだ振り解散」という事もあった。しかし、すべて<政治家同士の駆け引き>としては嘘も許されるということである。

もしも自身が衆院選に立候補すれば、「ほとんど嘘」ではなく、あからさまに嘘をついたことになる。

国民に対してあからさまな嘘をつき通して、成功する政治家が現れるとすれば、日本政治史の歴史的出来事にリストアップされるだろう。

まして(仮に都知事の任期を就任後1年余で放棄し、かつ前言を翻して衆院選に出馬し、加えて選挙でも多数を制し、最後に首班指名でも勝利して)女性初の総理大臣になるという野望が実現されるとすれば、日本の総理大臣の口から語られる言葉を日本の国民がハナから信用できない、その意味で日本政治史上最大のアノマリーになる。これは今の段階からハッキリと言えることだ。

いや、こう書いているだけで、こんな「非合理」を通り越して「非条理」とも言えることが、これから経済が上向いていこうという時に、なぜ起こらねばならないか?・・・ま、あってはならないことだって時には起こるのだな。つまり<非条理>、したがって"a great anomaly"なのである。

フランス革命期からナポレオン戦争後の王政復古期にかけて、その時その時の主流派を渡り歩きながら権力に寄り添い、仕事の上では警察組織の完成者、秘密警察の創始者として歴史に名を残した政治家ジョゼフ・フーシェ。その存在がフランス政治史においてアノマリーであるのと同じ意味で、小池百合子という女性政治家は日本政治史のアノマリーになる最有力候補である。

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安倍首相は鈍感であり、強引であり、傲慢である。しかし、基本的には正直なところもある。

<政権選択選挙>という観点からみれば、今度の選挙は乱暴な右翼政治家と嘘をつく右翼政治家との二択になるのかもしれない。

ウ〜〜ム、この二択のパターン。既視感があるなあ・・・。そうであった、昨秋の米国・大統領選挙。あれも確か、乱暴で正直な右翼政治家と上品で嘘つきな女性政治家の勝負であった。

アメリカでは乱暴なトランプ候補が勝った(アメリカ人はとにかく嘘つきを一番嫌うからネエ)。日本で嘘つきの女性政治家が成功するとすれば、この点でも日本の政治は、ある意味、創造的破壊を成し遂げたということになるのかもしれない。

とはいえ、都知事は辞めるのかとか、森友や加計にはフタをするのかとか、井の中のカワズ的でスケールが小さくて、田舎芝居のようでもあるなあ、と。そう思って見ている。

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