2017年3月3日金曜日

メモ的予想: 「金正男殺害事件」の今後の展開

標記事件の情報がそろそろ北朝鮮・平壌の市民にも伝わってきたようだ。
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件が北朝鮮の平壌でうわさになっているようだ。韓国で活動する北朝鮮脱出住民(脱北者)団体「NK知識人連帯」の金興光(キム・フングァン)代表が3日、聯合ニュースの電話取材に「海外駐在員を通じ平壌市内に事件が伝わり、市民が憤っている」と明らかにした。
(出所)朝鮮日報、2017年3月3日

他方、韓国のソウル市内はいま大変な状況になっているという。 大統領弾劾派と支持派がともに示威行動を展開し、決して退かない気構えだという。

 1919年3月1日に起こった日本からの独立運動「三・一運動」98周年を迎えた1日午後2時、ソウル・光化門広場に車両で巨大な「コ」の字型の壁が築かれた。警察はバス610台を動員、ソウルを象徴する光化門広場を取り囲んだ。この車の壁の外側では朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾に反対する団体の「太極旗デモ」が同時多発的に行われた。その一方で、車の壁の内側にある光化門広場では朴大統領弾劾・逮捕を求める「ろうそくデモ」が開催された。 
(中略) 
 この日は「三・一運動」98周年の記念日だったため、双方のデモ参加者たちとも太極旗を持ち、「大韓民国を守ろう」と叫んだが、その内容は正反対だった。手に持っていた太極旗を武器のように振り回して相手に向ける人もいた。社会的確執を解決しなければならない政治家たちも二つに分かれ、それぞれのデモに参加した。金鎮太(キム・ジンテ)議員、ユン・サンヒョン議員ら自由韓国党親朴派議員や金文洙(キム・ムンス)元京畿道知事などが弾劾に反対派デモに参加し、共に民主党の大統領選出場候補者・文在寅(ムン・ジェイン)前代表、李在明(イ・ジェミョン)城南市長、秋美愛(チュ・ミエ)代表らはろうそくデモに参加した。
(後略) 
 双方のデモが行われた午後2時から6時間、世宗路・太平路・鍾路・乙支路など光化門一帯の交通は全面規制された。週末のソウル中心部はこうした大規模デモで事実上、4カ月以上にわたりマヒ状態になっている。
(出所)朝鮮日報、2017年3月2日

バス600台で警備というのは相当なものではないか。隣国の首都の中心部がもう4か月以上もマヒ状態に陥っているというのは、日本人なら知っておいていい情報ではないのか―まあ、週末に限ったことであるそうだが。日本の安保法制成立時を超える規模になっているのは確かだろう。

南北ともに朝鮮半島の情勢は今後一挙に不安定化する可能性が高くなってきた。

***

一つの可能性、というか「流言飛語」:

韓国・憲法裁判所(最高裁)での大統領弾劾審理は終了した。来月上旬に判決が出るとの見通しだ。

その場合、現在の判事の構成をみると、かなり高い確率で弾劾は否決され、朴大統領は即日復職する。その直後、大統領は全土に戒厳令を布き、軍部主導の下で反対派を国家転覆罪容疑で一斉検挙する(のではないかという憶測があるそうな…、なるほど今回の韓国騒動はどこか国外勢力による陰謀めいているし、現在の日米両政権ともにこの選択を容認しそうでもある)。

弾劾派は当然これを予測しているので、そうなる前に大統領の自発的辞任を求めようとする。が、その場合、大半の国民が大統領弾劾、大統領逮捕に賛同することが鍵である。国民の支持が明らかに弾劾派に傾く状況になれば軍部は大統領を見放すだろうか。

そうはなるまいと読む。軍部の動向が事態の進展を左右するが、大統領が弾劾否決まで持ちこたえれば、反対派は「革命」の成功を断念し、国外脱出・亡命を企てるだろう。亡命先は中国以外にはありえず、反対派は中国に亡命後、中国の支持を得て「民主化のための臨時政権」を樹立する。

この事態を北朝鮮が歓迎するか、拒否するか、見当はつかない。が、疑心暗鬼に陥れば金正恩体制と中国の間が緊迫する。北朝鮮で変化が起きるとすればこの段階だ。

中国は、Thaad配置決定への報復から「亡命臨時政権」を支持し、また韓国に対する経済制裁を強化する方向を表明するが、これはアメリカにとっても黙過できない事態となる。が、朝鮮半島全域に安定を戻しうるのは、ただ一つ中国の戦略であることが徐々に明らかになる。

ここに至って、中国、ロシア、米国の了解のもとで朝鮮半島統一政権への道筋が中国主導の下で引かれることになる。中国が臨時政権の承認とThaad配置撤回、「半島非武装化」を条件に韓国への経済制裁を停止するのはもちろんだ。

***

単なる妄想であることを祈る。

TVのワイドショーは「金正男事件」と「森友学園」とを同列に並べて、両方とも同じ大事件であるかのように連日集中放送している。

まったく滑稽である。みそもくそも一緒とはこのことである、な。

議論するべきことを議論すると安倍政権と与党のペースにはまって埋没してしまうので、日本の野党はスキャンダルをとりあげることで国会の審議時間を消費し、与党の消耗を狙う戦術を選択したと言えそうだ。天皇退位問題の処理もあり、現政権は土俵際まで押し込まれているともいえそうだ。

安倍現政権のとりまきの一つに「極右」がある。失敗したはずの戦前期・日本を美化する愚かな人間集団であるという点は同感。しかし、だからといって森友学園事件は右翼の陰謀、右翼政治家が加担しているというのは(やはり)バカバカしいと思う。

確かに「森友事件」は面白い。しかし、半島情勢は「面白い」ことに加えて「重要」である。なぜ半島情勢をもっと掘り下げて話題にしないのだろうか。テレビ局の番組編成部という所は思考回路が違うのだろう……。

そういえば、以下の報道もあった。
 北朝鮮による核兵器の脅威に対応するため、トランプ米政権が武力行使や政権転覆などの選択肢を検討していることが分かった。政権内部の対北朝鮮戦略の見直し作業に詳しい関係者が明らかにした。東アジアの同盟諸国を緊張させかねない動きだ。
(出所)WSJ、2017年3月2日

本当に、このところの日本の民放テレビ局のニュースもどき、ありゃあ一体何なんでござんしょう。NHKは面白くないっていやあ、そりゃ詰まらねえんですけど、あんな風なことはござんせん。

0 件のコメント: