2016年6月16日木曜日

「官僚的イノベーション」ってある?

「官僚的」という形容詞は、当然ながら、ネガティブなニュアンスをもっている。細かい、非生産的、非効率、前例墨守、保守、反動的、新しいものを拒否する、古い・・・、まあとにかく類義語が出てくるわけだ。

だから、官僚に統治をまかせておくと社会が全く進歩しなくなる。そこで、選挙で選ばれた政治家が方向付けをしていく。それが近代社会の原理原則である - なので、『これはこうでなくてはならない』ということを、国民があまり拘って言い募ると、官僚に任せておくのが一番確実、かつ安心できる、と。この辺は、まったく逆説的にきいてくるわけである。

ただ、しかし、最近腹立たしく感じること。NISA(少額投資非課税制度)の申請から口座開設まであまりに日数がかかることだ。

いま国内株に投資すれば、たとえば住友商事の株式を購入すれば配当利回りは5%に達する。これにNISAを使えば、非課税だから丸ごと5%の利回りで運用できる。長期国債の利回りがマイナスになるというこのご時世に、だ。しかも、今は底値圏-もちろん英国、中国、米国などリスクはあるので断言はできないが-にあるから、キャピタルゲインも相当の確度で期待できる・・・。

ところが申請してから20日が経過しようと言うのにまだ連絡がない。調べてみると、長ければ一か月半かかる(こともある)というから驚きだ。

金融機関で申し込み手続きをしてから口座が開かれるまで、金融機関での事務作業時間を含めると、実際には最長で6週間以上かかる場合もあるという。
国税庁によると、NISAの口座開設数は2013年末時点で約475万件となり、政府が2020年の目標とする1500万件の約3分の1に到達した。
しかし、ロイターが証券会社と銀行の計8社に対して問い合わせたところ、口座の稼働率は平均で2割程度にとどまっている。口座数ベースでは出だし好調だが、今のところNISAを通した取引はそれほど活発ではない。


その原因は長い「待ち時間」にあるようだ。「1カ月半もすれば相場も変わるし、待っている間に投資熱も冷めてしまう」と前出の男性は話す。さらに足元の市場動向が下落基調にあることから投資意欲が湧かず、NISA口座が開設されても利用するかどうかは分からないとしている。
 (出所)ロイター、2014年2月6日

制度発足の直後から、もうすでに欠点が指摘されている。それでも直らない。

この制度は、個人投資家を支援するためイギリスで1999年にスタートした「個人貯蓄口座(ISA:Individual Saving Account)を参考にして日本で制度化されたものだ。本家のイギリスでは金融制度のイノベーションとして発足したこの方式も、日本では非効率な役所仕事になってしまったようだ。

ただ、Wikepediaによれば、2018年以降はマイナンバーを活用して口座開設手続きを簡素化していくという方向で<検討>がなされているようだ。

まだまだ、どうにもなりませんぜ、こりゃあ……。

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