2015年9月15日火曜日

時代から先走りすぎた財務省の税還付案

マイナンバー制度を活用した財務省の消費税還付案はもはや風前の灯であるらしい。
 消費税率10%引き上げに伴い、財務省が提案した飲食料品の2%分を払い戻す「還付制度」の与党合意が困難な情勢になってきた。自民、公明両党議員からの批判が噴出していることに加え、世論の支持も得られていないためだ。両党は15日に与党税制協議会を開くが、白紙撤回のシナリオが現実味を帯びている。
(中略)
公明党は地方の党員の声や世論を踏まえ、与党協議を通じて還付制度への反対を強く訴えていく構えだ。来年夏に参院選を控えていることもあり、還付制度の導入の是非をめぐる議論が長引けば政権運営に影響しかねず、安倍晋三首相が早期の判断を迫られる場面が出そうだ。
(出所)Yahoo! ニュース、産経新聞、2015年9月15日

確かに、納めすぎた税の還付を申請するのは面倒くさい。不評であるのは当たり前だ。それも、まだ始まっていないマイナンバー制を前提にしているのだから、誰でも「???」となるのは仕方がない。

とはいえ、欧州型付加価値税(VAT)もそうだが、同型の間接税である日本の消費税であっても、支払いすぎた税を後で還付してもらう制度は極めて一般的に採用されているものだ。

そもそもVATも消費税もそうだが、仕入れ時に自社が支払っている税額と売り上げ時に顧客から徴収する税額の二つがある。当局に納める税額は後者から前者を差し引いた金額である。それを根拠づける証票がインボイスである。もしも受け取った税より支払った税が大きい場合、マイナスの税額となるので、これは当局に申請して還付してもらうのである。税に関する資料はどれも細かい。中でもこれが便利かもしれない。

付加価値税の還付は域外消費者が税込みで購入した時にも行われる。還付申請をしなければ、納めなくともよい税を納めたままになる。これも財務省の還付案に近いところがある。

財務省案は、消費者としての国民個々人がマイナンバー制の下で、事業所と同じように税を支払ったり還付してもらったりする、そんな社会への道筋にある。還付自体はいまでも確定申告や年末調整でもやっているわけだが、ここが効率的になるのは基本的にいって「便利」である。こう考えると、未来は多分こんな風になっていくのだろうと思わせる所があって、極めて先進的であると小生は感じていたりする。

が、しかし、物事は徐々にしか進まないものだ。今度ばかりは、時代をはるかに超えている。理論的には正しい方向だと思うが、5年は待たないといかんだろう、と。

少なくとも、個別商品の間で軽減税率対象品目と非対象品目とを仕分けなければならない文字どおりの「軽減税率」。これは理屈に合わぬ箇所が多々発生して来るのは必至であり、本当はこちらの方が非合理的だ。これよりは、財務省案のほうが(実は)スッキリして合理的であると、思うのだがねえ・・・。

ま、世間ではいわゆる「正論」というのは通らないものでござんすな。

0 件のコメント: