2015年6月30日火曜日

続・これはこっちが正しい

ベストセラー『永遠のゼロ』の作者、百田氏の形勢が悪い。

安倍首相を熱烈支持する自民党の若手議員集団の勉強会。そこで百田氏が講師に招かれたところ、色々と、中でも沖縄関係の話題をめぐって「非常識な」やりとりをしたというので、批判されている。

ヤレヤレ、またか。そんなところではある。

戦後日本では「表現の自由」が憲法で保証されているので、講演で何を語ろうと「法を犯した」という事態には原則ならないのだが、当然のこと、批判もまた自由なわけである。

百田氏の話しによると、普天間基地の周囲に住宅が密集しているのも、最初は農地で誰も住んでいなかった、と。それが基地の近くに住むと儲るというのでみんな集まってきたと、それで今のようになったと、そんな雑談もしたというのだが、それも実情とは全く違っていると地元からは厳しく批判されている。もっと他にも勘違いはあると。

まあ、あれである。誰かの講演原稿を自分のものにするような盗作講演は、これはタブーだ。やってはいけない。しかし、事実関係についてキチンと確認をせずに、普段の思い込みから『まあ、あれだよ、云々』という会話は誰でもやってしまうものである。

何かリサーチをするときは、伝聞ではなく絶対に一次情報を調べて確認をとれと指導されるものだ。誰かの計算結果を使う時は、▲▲の計算によると注をつけるべきであるし、つけないなら自分で再計算して確認するべきである。これすべて、リサーチでは常識的慣行になっている(と信じている)。

よく知らないなら、沖縄がああだ、こうだと政治家を相手に語るべきではない。いいかげんだ。この点は、沖縄県の人たちが正しい。

今回は、百田氏が一知半解。地元沖縄の人たちの言い分に理がある。

大体あれである…『永遠のゼロ』。命を国に捧げる特攻隊に感動しているのだろうか?よく分からない。あのように愚か、というか極限的に低品質な作戦指導がなぜできてしまったのか…、批判を許さぬ独善的な政府が造りだした余りにも哀しく、不合理な社会を痛切に記憶するという狙いなら理解できるのだが、小生は正直なところ、なぜあの作品がベストセラーになったのか、その理由が分からない。なので、百田氏という作家に対して不必要に厳しい文章になっているかもしれない。

が、これも小生自身のための覚え書きということで。

【追記】その後、上の若手議員の集会に参加したO議員が改めて『報道機関を懲らしめる気はある』と発言したというので、まだまだ尾を引きそうになっている。この御仁も表現の自由を根拠にあげているというから面白い。なるほど、そういう発言をしてもそれ自体が違法にはならないが、国会議員としての適性、資質、資格を疑われる進展にはなりそうである。最悪の場合、党籍剥奪、議員辞職勧告まで行ってしまうのではないか。そうなると、安保法案の審議拒否も(大臣ではないにせよ)正当化されるので、この話し、意外と安倍内閣にとってはボディブローのように効いてくるかもしれない。

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