2015年2月22日日曜日

世界の軍事費―たしかにこれはアンバランスだ

Google+でThe Economistの最新記事を紹介してきた。掲載されていたグラフを以下に引用しておきたい ― 出所を表示しておけば適法か……ま、小生の周囲の常識から判断する限り、無断引用にはならず、問題はないのだが・・・。



サウジアラビアが急増しているように見えるが、その右の実額をみると大した額ではない。多額の軍事費を計上しているのは、やはり中国か。それからロシア。そのロシアよりサウジアラビアの軍事費は多い。それとインド、韓国…そして日本。この辺は軍事予算を増やしている。

他方、減額はドイツ、イギリス、フランス、アメリカ。う~ん、軍事バランスが変わりつつあるねえ、と。そう思って実額をみると、アメリカが断トツの巨額である。これでは少々の減額くらいでは、世界の軍事(アン)バランスは変わらない。

日本は武力を保有しないといいながら、兵役の義務を課している韓国より軍事予算が多い。これまた一つの逆説である。国民皆兵であるからこそ、兵備の近代化が遅れる傾向が出てくるのだな ― いや、逆かもしれない。

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本日の道新のトップは防衛省設置法12条の改正を政府が目指しているという記事だ。改正の目的は部隊運用に関して内局(=背広組)が大臣に助言する(=介入する?)権限を撤廃して、統合幕僚会議に権限を一元化するというものだそうだ。

この件は、大手マスコミは報じていない。北海道新聞のネット版にも現時点(11:49)で見当たらない。Googleで検索すると、かろうじて沖縄タイムス紙で確認できるくらいだ。同紙のネット版から記事を引用しておこう。
防衛省が、内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される同省設置法の条文は不適切として、改正する方針を固めたことが21日、分かった。設置法12条は大臣が制服組トップに指示する際、内局の官房長、局長が大臣を補佐するなどとし、文官優位の規定となっていた。制服組や制服OBの国会議員からの強い要求を受け入れた形だ。
 3月上旬、通常国会に防衛省設置法改正案を提出する。12条を改正するほか、分担してきた自衛隊の部隊運用(作戦)を制服組主体に改める「運用一元化」も盛り込む。(共同通信)
(出所)沖縄タイムス、2015年2月22日

共同通信の報道だから、どの新聞社も知っているはずだが、報道の価値なしと判断したのだろうか。分からぬ。

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ま、形式的な組織改変であると割り切ってもいい。そういう見方もある。部隊運用に内局の人間が色々と口を出すのは、確かにどこに責任があるのかわからない。そんな見方もある。

文官優位の原則は、要するに政治(=国会)の優位、予算上の拘束の二つがあれば十分である。戦前期・日本ですら、予算を握る陸軍省が最終的には作戦立案と部隊運用を握る参謀本部を抑えることができた。その陸軍省が大蔵省を引っ張ることができたのは軍、というか軍と同調する政治家が主導して国家総動員体制が法制化されたことによる。

財政均衡を憲法で定めておけば戦前期・日本の迷走は起こりえなかった — 日露戦争の実行も憲法の財政制約から不可能であったろう。これは今も同じだ。そもそも国民の納税義務を規定するなら、財政の均衡を少なくとも一定期間の中で定めておかないと、意味が無いではないか。

ここから考えると……、本当にこわいのは、偶発的な衝突(さらに意図的な暴走)によって進行する事態に事後的に予算手当を行うことを禁止する制度であろう。もちろん信賞必罰の徹底は言うまでもない。

防衛大綱と防衛基本計画を国会が事前承認しない限り、計画に基づく整備と運用はすべて不可能としておくのが鉄則だ。また、計画に基づかない臨時・緊急の行動は、その都度、閣議の事前承認がいる。ということは、予算措置の可否について全閣僚の賛成がいる。国会への報告もいる。これもまた鉄則であろう。

いたずらに「改革」に関する議論をタブー視するべきではない。タブー視することによって、検討能力、立案能力が衰退することのほうを真におそれるべきだろう。

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