2015年1月23日金曜日

イスラム国―あまりに幼稚に過ぎる暴力と無分別

中東の「テロ組織」である『イスラム国』は、いま有志連合の軍事的圧迫から犠牲が急増しているせいか、余程カネに困っているのか。容易にそう憶測できるものの、それにしても日本人二人を人質にとって身代金を要求するやり方は下手な戦術だった。

どんな戦いも、味方を増やし、敵を懐柔するのが定石である。

これで日本人は『イスラム国』の理想や志などに目を向けることなく、はなから悪の集団と決めつけてしまうのは確実。このような正義の感覚は、現に『イスラム国』撲滅を目指して軍事力を行使しつつある国を支援することにモラル上の痛みを感じさせない働きをする。要求して取れるかどうか分からない身代金と引き換えに、確実に自国の敵を増やすのは、割に合わない。『俺のとは違うなあ……』、TVドラマじゃないがそう考えます。

今日開かれた記者会見の場で、人質になっているG氏の母親は息子はイスラム国の敵ではないと述べていた。もちろん、敵ではないからといって、味方でもあるまいが、事実はそんな所なのだろうと。そう小生も推測する。

だとすれば、『イスラム国』がとった今回の対日作戦は、敵ではないかもしれないにもかかわらず、敵であるようにも感じられるので攻撃したことになる。直接に自国を攻撃しない国は、たとえ現に攻撃している国の同盟国であっても、というよりそれ故にこそ、必要な場合の交渉ルートとして手札に持っておくのが合理的だ。

このように考えると、『イスラム国』は「国」と名乗り、内部組織も出来ているようであるが、「草創期」には不可欠である有能な戦略家がいるわけではない。いたとしても内部がバラバラで賢明な発言が影響力をもっていない。ジンギスカンは残虐であったが、幕下には多士済々、有能な人材が集まっていた。それとは全く違う。

ケリー米国務長官の発言によれば既に半数近くの中堅将校クラスは戦死した模様だという。どうやら規模は大きいが、所詮は唐末期の黄巣の乱、明朝末期の李自成の乱といった乱世特有の軍閥のような、または一揆に近い争乱として、近いうちに終息を迎えるのではないかと予想している。

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