2014年12月11日木曜日

アメリカの天敵は今もOPECなのか

リーマン危機以前は石油価格が高騰するとアメリカ経済の先行きには警戒信号が灯った。2002年以降の安定成長が、リーマン危機よりもずっと前にピークアウトしていた背景には、石油価格上昇があったことは否定できない。

ところが、だ・・・あれから6年しかたっていないのに、時代は変わってしまったようである。
週明け8日の原油先物相場は一段安となり、米国産標準油種(WTI)は1バレル=62ドル台、欧州の代表的な原油指標である北海ブレント原油先物は65ドル台まで一時値下がりし、いずれも約5年ぶりの安値となった。
 石油輸出国機構(OPEC)が総会で減産見送りを決めた11月末以降、下落基調が強まっている。需要の先行きを不安視した石油メジャーの一部は来年の設備投資を削減すると発表した。
(出所)産経ニュース、2014-12-09-10-00

OPEC減産見送りで価格低下、米シェール業界の投資が抑制される。この道筋は文字どおりアメリカに対する増産戦略牽制、安値戦争の脅し。つまりOPECによるタフコミットメントである。これに対してアメリカは正直に「押さば引け」の戦略的代替関係を身を以て証明しつつある。・・・どうも現在のアメリカは、民間企業も政権も闘争回避の安全路線を基本戦略にしているかのようである。いうまでもないがシェールオイル業界の慎重投資はOPECとの協調をとる選択である。

ところが
【ニューヨーク時事】10日のニューヨーク株式市場は、原油安が重しとなり3営業日続落。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比268.05ドル安の1万7533.15ドルで終了した。下げ幅が250ドルを超えるのは約2カ月ぶり。ハイテク株中心のナスダック総合指数は反落し、同82.44ポイント安の4684.03で引けた。(中略)市場関係者からは「従来は原油安で消費が伸びるという見方から株価が上昇していた。あすの小売売上高が悪ければ、株安が加速するだろう」(日系大手証券)との声が聞かれた。
(出所)時事通信、2014-12-11-07-00

原油安が負のショックになって米株安を誘ったというのだから、時代は変わる、というか
〽 まわる〜まわる〜よ、時代はまわるう
〽 よろ〜こび〜 悲しみ〜くり〜返し〜 
ただ、日本の原発も(いろいろヤジは飛ぶだろうが)再稼働されるだろう。 大体、多くの国民が再稼働に本気で反対しているなら、「再稼働する」とハッキリ明言している自民党が大勝するかもしれないという雰囲気になるはずがない。

ま、選挙は水物であるが、本当に与党が大勝すれば、年明け以降は粛々と原発が再稼働される。日本の原油・天然ガス輸入はピークアウトする。トレンドとして化石燃料依存度をおさえたいという欲求は世界で共有されている。再生エネだけでは足りない。原発施設の増加トレンドに変化はない。そう思うのだ、な。

OPECの安値形成は、参入阻止価格戦略のつもりなのだろうが、もはや市場規模成長の見通しには先が見えている。米国内・シェールオイル資本が敢然と拡大路線をとり続ければ、過剰設備調整に動くのはOPECの方だろう。その前に産油国の団結そのものが維持不能になる。そう小生は見ているのだ。

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