2014年3月16日日曜日

大規模移民受け入れの足音と右傾化現象

何かの事情があるとき、国は大規模な移民を受け入れる選択をするものだし、実際多くの国はそうしてきた。以下の報道がある。
[東京 14日 ロイター] -菅義偉官房長官は14日午前の会見で、政府が移民の大量受け入れの検討に入ったとの一部報道について、「政府としてそうしたことを決定した事実はない」と否定した。

菅官房長官は、1月に経済財政諮問会議の下に「選択する未来委員会」が設置され、そこで人口減少などを見据えて日本の中長期的な発展を実現するための議論を進めているのは事実だとし、「先月24日の委員会で有識者から外国人労働力活用拡大の選択肢が提起された」と説明した。
(出所)ロイター、2014-3-14

菅官房長官は「政府としてそうしたことはまだ決定していない」と記者会見では発言したそうだが、これは移民受け入れを認める潮流があることを認めているわけで、政府としてもいずれ最終的に判断することを匂わせている。なので「足音」が聞こえてきた。そう思っていいのだ。

集団自衛権を憲法解釈で認めることと同程度の高いハードルであることに間違いはないが、国民の暮らしに直結するのはむしろ移民のほうである。単純な理屈でいえば、国内労働市場において労働供給を増やそうとするのだから、賃金を低めに抑圧する効果をもつ。

しかし、その結果として国内企業の収益率は改善され、株価は上昇する。ビジネスにとっては有利な制度改正だ。国民はビジネスでメシを食っているので、国民にプラスの側面があるのは否定しがたい。国内消費需要も増加トレンドへと向かうので、併せて海外から日本への投資促進策を実施すれば、設備投資が増えてGDPは成長する。これは確実である。

但し、その中で日本人の若者がどんな仕事をするか、よい仕事につけるのかと言えば、よほど頑張らないと人材として競争優位を獲得できず、高給与の職業には就けない。年金受給世代は……、年金の持続可能性だけに着目すれば、双手をあげて賛同するはずだ。

ともかく移民受け入れの前に教育制度の改革が必要だ。しかし計画的に教育制度を改革するなど、余程の政治的腕力がいる。多分、進まないだろう。故に、若年層を中心に"Japanese Only"的な右傾化現象が拡大する。そんな右傾化現象に迎合する言動を繰り返して、自分の政治的立場を強化しようとする政治家をいかにして押さえ込むかが、将来の日本の課題になるだろう。いまはそう見ているのだ、な。

× × ×

どうも最近は絵筆が進まない。模写やら模倣やらで水彩を幾つか描いているが、やりかけで放っている油彩画はもう一年間もそのままだ。今年はどこにも出品できないかも。仕事が雑用に思われるようになれば焼きが回った証拠だ。

今週もまたお気に入りのフリードリッヒから水彩画。


Friedrich, C. D., Mountainous River Landscape (Night Ver.), 1835まで

昨日は上の作品を模写、いや模倣して描いてみた—水彩は油彩より模写が難しい。模倣になってしまう。

とはいえ、上のようなモチーフは無数にある。前にも本ブログに載せたがノルデも描いている。


Emil Nolde, Stormy Sea

海を描けばどう描いてもいずれか名作の模倣になってしまう、とも言えそうだ。どちらにしても、「大規模移民」や「右傾化」よりは、美の世界を語りたいものだ。

やはり焼きが回ってきた。




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