2014年2月6日木曜日

安倍現政権はいつまでもつのか?

昨夏の参議院選で自民党・与党が勝ったとき『これであと3年間は国政選挙がなく政治に専念できる』という声が広がった。

その3年の間にはアベノミクスの成果が出るなら出ているはずであるし、アメリカ、欧州の経済状況が回復に向かっていて消費税率引上げも乗り越えそうだ。今回の安倍政権は前回と違って巡り合わせが良さそうだ。そんな風に本ブログでも書いた記憶がある。

ただマスメディアを通じて伝わってくる首相の人柄は、前と変わらない印象で、どこか大事なところが「鈍感」であり、普通の人の感覚を理解できない、簡単にいうとデリカシーがない、そんな所があるのじゃあないかと(今回も)感じてきた。その善くも悪くも直線的なキャラクターが原因するのか、前回も閣僚達の放言に泣かされて支持率が急低下したかと思ったら、今回もそろそろ周辺の人物の放言に悩まされ始めたようだ。ただ今回は閣僚ではない。さすがに閣僚は、前回の失敗に懲りたか褌を締めなおしている感があるが、知人・友人がいけない。締め直しが徹底していないのだ、な。

NHK経営委員の長谷川三千子氏が『今上陛下はふたたび現御神(アキツミカミ)となられた』と、まるで明治憲法下、天皇機関説を展開した美濃部達吉に対して天皇主権説、というか皇権神授説を主張した上杉慎吉ばりの意見を述べたかと思うと、百田尚樹氏は『日本軍による南京大虐殺はなかった』と発言した。NHK会長に就任する楺井勝人氏が最初の記者会見で「従軍慰安婦はどこの国にもあったでしょう」と言ってしまい、あとで個人的見解をしゃべってしまったのは遺憾だと弁解したのも「ダイジョブか?」と思わせる行動で、極めてまずいことであろう。

どの人もこの人も安倍総理周辺の人物であるという。前回は「お友達内閣」と揶揄されたものだが、今回はいまのところそうした声は出ていない。しかし、仲のいい知人に名誉ある要職でねぎらう傾向は変わっていないようである。その抜擢された人物達が、個人的意見を公人の立場で発言し、その意見が社会でどのように受けとめられ、どのような印象を形成するか、これらのことを予想する能力を全く欠いているというのは、最終的に安倍総理を支持している人たちの能力、知力、思想に危うさを感じさせるまでに至るだろう。この点、間違いはないと確定的に予想しておこう。

米紙Wall Street Journalは、日本と安倍政権には比較的好意的な立場をとってきているが、こんな記事を載せている。
米国政府にとっての本当の危険は、自らが張子の虎と見られるようになることである。オバマ政権はアジアでの目標をこれまで明確にしてこなかった。それは民主主義と自由主義を促進することなのだろうか。中国の人権侵害に立ち向かっていないこと、他の民主主義国を団結させていないことからすると、それが優先事項の上位にあるとは思えない。中国を抑え込むことだろうか。アジア・ピボット戦略のそもそもの誘発要因は中国の冒険主義を思いとどまらせることにあるということは誰もが知っているが、ワシントンでそれを口にする者などいない。……
…一方、韓国との同盟を除く米国の同盟関係は時代遅れであり、2010年代というよりも1950年代の状況に適合している。以前よりもずっと独断的で威圧的な中国にでさえ、戦争にうんざりしている米国民が怒りを覚えることはほとんどない。軍事力で一方的に国境を変えようとするほど中国はバカではないと思っているからだ。
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」が中国で組み立てられていること、中国政府と日本政府で2兆ドル近い米国債を保有していることは誰もが知っている。それでも平均的な米国民は、アジアの安定と平和を維持するために米国人が血を流す価値はない、米国政府が継続的に防衛予算を割く価値すらないかもしれないと考えている。日本や韓国といった豊かな同盟国がどうしてもっと大きな役割を果たさないのかと疑問に感じている。遠くの海にある岩礁をめぐって戦闘するという考えを受け入れることができないのである。
(出所)ウォール・ストリート・ジャーナル、2014年2月5日

安倍政権は集団的自衛権を憲法上容認する道を開くことを「男子の本懐」としているが、どこと共同して、どこを自衛するのだろうか?韓国との外交関係は最悪である。アメリカもまた日に日に変わっているのだ。アメリカが変われば、豪州もフィリピンも、イギリスもインドも変わるだろう。台湾は最初から尖閣列島という岩礁は台湾の一部だと主張している。

東アジアの近隣諸国が日本に対して歴史問題カードを使い続けるのはシツコイというなら、日本がロシアに対して「北方領土は、幕末以来、日本固有の領土だ」と主張し続けるのもシツコイのではないか。ルーズベルトがスターリンに手形をきったからソ連は対日軍事行動を起こした。そうではなかったか。ロシアにとっても千島領有は宿願であった。であるのに、領有権を日本に渡すか、そもそも?

どれも大問題である。難問である。であるのに、周辺の人物からまた崩れ始めているようである。このダメージはいずれ本丸にも波及するだろう。こんな程度の支持基盤(=保守層)に応えるために自ら靖国参拝をしたのは愚の骨頂であったろう。いまはそんな声が世間に増えている。

小生、現政権はあと3年はもたないとみる。国政選挙はなくとも、支持率が20%を割り込めば、やりたいことは何もできないはずだ。



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