2014年2月24日月曜日

大事なことは「なせばなる」か、それとも運・不運か

ソチ五輪も閉幕した。五輪は何事もなく終わったが、五輪が開かれている間にウクライナの親ロシア政権は崩壊し、親欧州(=EU)勢力が政権につく見込みになった。ロシアのプーチン大統領にとっては誤算であろう。それとも冬季五輪はウクライナの混乱を見越した目くらまし戦術であったのか?いやいや、ソチ五輪はずいぶん前から予定されていたことだ。ずっと前から2014年2月の時点でウクライナが政治的危機に陥るとは誰も予想できなかったろう。だからウクライナ政情はプ大統領の誤算である。正にその時に自国でオリンピックがあり、それが成功裏に終わったことは、ある意味で幸運であったのかもしれない。

それにしてもオリンピック開会中に内戦同様の状況にまで進むのだから、「平和の祭典」とはよく言ったものである。が、これも「イヤイヤ」である。古代ギリシアのオリンピアードもその開催中はどんな戦争も停戦となったらしいが、オリンピアードが終わると兵士達も故国に帰って、祝祭モードから平常モードへ戻り、再び戦争を継続したのである。そうやってスパルタ陣営とアテネ陣営は30年もの間ペソポネスソス戦争を戦い続けたのだ。

それにしても、リアルタイムで隣国の親ロ政権を裏で支援するべく工作し、表面ではオリンピックを主催するのだから、五輪の形骸化も来る所まできた。1984年のロス五輪がビジネス・オリンピックの始まりなら、ソチ五輪はポリティカル・オリンピックのピークとして記憶されるかもしれない。

それにしても(と再び繰り返すのもくどいが)、成功の印象をもって五輪を終えたプーチン大統領は、政治的なフェリックス(=幸運児)である。同じく、日本の安倍晋三総理も一次・二次を含めて良い巡り合わせで好機が訪れる政治家だ。その日本の幸運児も最近は友人が次々に失言をして、足を引っ張られている感があるが、まあ一過性のゴタゴタで終わる見通しになってきた。

しかしながら、ここにきてTPPに暗雲がたれ込めてきた。アメリカも日本も議会や公約に縛られていて、まともな交渉ができない。理屈からいえば、日本は農業高度化の予算措置をして、併せて聖域5品目の関税をすべて「長期的には原則100%撤廃」とするのが、ほとんどの国民にとって最善の選択だ —前にも述べたが、食品自由化を断行して、食品価格の引き下げをもたらして、日本の家庭のエンゲル係数をアメリカ並みに下げれば、平均で概ね40万円/年程度の減税効果をもつ。ならば、世界市場で売れる銘柄農産物に特化できるように支援する高度化資金は税で十分調達できるはずなのである。

理屈では上のように議論できるが、自民党では無理だろうと思うようになった。そもそも安倍総理自ら山口県が地元であり、現在の日本の農業は伝統的に自民党の地盤なのだ。TPPは労組を支持基盤とする民主党が実行しなければならない政治課題だった。労組がTPPに反対する理屈は全くといってないからだ。得するに決まっている政策に反対したのは、小沢一郎を民主党に招いたからだ。小沢一郎は岩手を地盤とする農業政治家であると小生はみてきた。実際、農家戸別所得保障などという政策は、極めて小沢好みの政策であり、反・労組的な発想である。TPP交渉のボタンの掛け違いは、政策理念や支持基盤をかえりみず、ただ選挙に勝利したいがために異質の政治家を自党に招いた民主党の失敗に原因がある。小生はそうみている。

あとは安倍内閣が「なせばなる内閣」になりうるかどうかであるな。

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