2013年6月7日金曜日

円高の怪 – 理論的説明の範囲外なのか

米FRB・バーナンキ議長以下、QE3の出口戦略を語り始めた途端に、金利先高感が生まれ、景気の先行きについて不安がもたらされ、それが米株式市場を下げる要因として働いているという。だからドル安だ、と。ドル安=円高だから、日本の無リスク債券に運用先をシフトすればよろしい。とすれば、日本は円高になると同時に、国債利回りは低下する。日本の株価は下げるだろうが、長期金利急騰不安は一服する。こういうロジックがありうる。実際、10年もの国債の流通利回りは今日現在0.81%(Bloomberg)で、一時期の不安心理は解消されつつある。本当にそうなのか?理屈じゃなくて、屁理屈じゃないのか?

アメリカの国債買取額が減少するにしても、日本は<黒田緩和>によってこの先ベースマネーが市中にあふれかえることは約束済みなのだ。また国債買取の対象とする残存期間も長めになる。短期金利と中期金利は頭を押さえられるのに決まっているのだ。長期金利が高止まりする理屈はありえない – インフレマインドの形成以外には。

アメリカではQE3の出口戦略が語られ始め、アメリカの金利上昇がこの先予想されていますので、その不安から円高になってきております。

こういう無知蒙昧な「解説」 をきくと、小生は、『雨雲が関西から関東に移動し、関東では大雨を警戒する空模様になってきました。関西でも厳重な警戒が必要でしょう』。こんな風な天気予報を想像してしまう。

いずれにせよ、4月のクロダ・バズーカは市場には予想せざる巨大ショックであったにちがいない。そのショックに対して世界の金融市場がどのような反応を見せるか?それは予測誤差修正プロセス(Error Correction Process)であって、均衡到達時にどのような状態になるかという点とは関係がない。手元でインパルス応答マップを見ているわけではないが、4月の巨大ショックはプラスの盛り上がりのあと、マイナスの反動を自然発生させながら、1年から1年半程度の波状的な津波のような効果をもたらしているはずだ。

株価と金利の変動は、巨大ショックでもたらされた津波のようなものである。経済成長は実体的な要因が変わらなければ、前と同じである理屈だ。しかし、ショックでかき回された場合に、死んだ心臓が生き返ることはありうる。土台、マクロ経済は非定常で非可逆的なプロセスなのだ。そんな観点から、いまのジェットコースター的金融政策が展開されているのだとすれば、例えは悪いがTVでよく観る情景、つまりICUで心停止後の患者に電気ショックを加える図を想像してしまう。

150で!
バン
先生、VFです。
200に上げて!
バン
ダメです、先生
250!!
先生、無理ですよ、それは

どちらにしても、毎日変化する金融時系列データは、理論的な変動というより、極めてS/N比の低い動きであるに違いない。毎日朝になったら、なぜこうなんだと説明をきく。これが間違いと言っちゃあ、一番の間違いでござんしょう、な。日本の実体経済は数字をみる限りよくなりつつある。投資した株は持ち続けるつもりでござんす。

0 件のコメント: