2013年5月13日月曜日

反省 − ヘボ投資だったか

ソフトバンクがM&Aを仕掛けている米・スプリント・ネクステル社に対して衛星放送企業ディッシュ社が対抗買収を公表したとき、ソ社の株価は不透明になったと判断して売却した。その入れ替えとして、三井物産株を購入した。

ところが案に相違してその後ソ社株は急騰。売却価格より1000円余り高い水準にまで達した。他方、物産株は買ってから5%程度の微騰である。まだ三菱商事のほうが好調だ。購入を検討したとき、楽天株は1000円程度であったが、その後3割上昇している。パナソニックは安値域にあり底値買いのチャンスと思われたが、業績不振への展望が見通せず買う気にはなれなかった。ところが先週末にパ社は14年度3月期の業績見通しを発表し黒字転換する見込みと公表した。それを好感して本日パ社株は10%以上の急騰となった。

いやあ、まったく先の見えないヘボ投資をしたのかなあ、と。

それにしてもスプリント社ではソ社による買収提案の可否について6月12日に株主投票を実施する予定だそうだ。ス社の大株主の中にはソフトバンクではなくディッシュ側の計画を評価する意見もあるという。ソ社は買収金額の引き上げを余儀なくされるだろうとの見通しもある。買収を成功させなければ、当面、米市場への参入は頓挫することになる。その場合は、違約金が入るので損失は出ないと計算はされているようだが、アンドロイドが次第に優勢になりつつある流れの中で、日本国内でのみ競争を展開するには国内通信市場はあまりに成熟化した。やっぱりソフトバンクによる買収の行方は、ソ社の成長性を大きく左右するはずである。そう考えられると思うのだが、なぜこんなに天上知らずでドンドン騰がっちゃうのですかねえ、ソフトバンク株は?

もちろん、買う人がいるから株価が騰がるのだが、分からぬ。
分からぬ動きをしている株には手を出さないのが鉄則だが、やはり惜しかったなあと、残念に感じるのは、小生がそれだけヘボだから、仕方ないなあというところだ。

× × ×

それにしても日銀による<黒田緩和>、かなりの猛威である。海外主要国も表立って批判はせず、お手並み拝見という様子が何となく伝わってくる ― 韓国は競争力減退により相当の打撃を受けているようだが。

ただ長期金利が逆に出ている。
【渡辺淳基】国内の大手銀行は5月から、住宅ローン金利をそろって引き上げる。期間10年の固定金利ローンの場合、0・05%幅高い年1・40%(最優遇金利)となり、昨年10月以来7カ月ぶりの高さになる。日本銀行は金融緩和で金利を下げ、景気を良くしようとしている。しかし、思惑とは逆に金利が上がってしまうという皮肉な事態だ。(出所)朝日新聞、4月30日21時40分
いずれにしても金利は上がるという予想で逆に動いているわけだ。インフレ2%を目指すなら、それによって金利は上がる。もしこのために上がっているなら、インフレ期待の定着に早くも成功しつつあるわけだ。インフレ率(デフレ率)には変化がないが、景気上昇によって実質金利(≒実質収益率)は上がる。いまからそんな風な期待があって長期金利が上がっているのか?それはちょっとないと思うのだが。

いずれにしても中央銀行が短期金利をゼロに抑えることは可能だ。リスク資産を広汎に買えば長期金利をゼロに抑えることは可能だ。全ての末端金利をゼロに抑えられないとすれば、それは国内の状況がデフレからインフレに変わるときである。

こんな風に書くところが、すなわち<バブル前夜>。こういうことだと言えまいか。1980年代後半はバブルで幕を閉じたが、それは1985年のプラザ合意をきっかけとした円高不況に応じた<澄田金融緩和>が発端だった。その時にも<成長政策>はあったのだ。世界の金融センター東京構想もあったし、リゾート産業が国土形成の柱として期待されていたのだ。経済大国から生活大国を目指そうと議論されてもいたのだな、あの頃にも。近くまとまるという政府の成長政策がバブルの形成をむしろ加速させることは大いにありうることである。

「いずれにしても金利は上がる」と予想するより、「いずれにしても急ブレーキがかかる時は来る」と予想しておく方が賢明だろう。その急ブレーキは1990年代初頭の急ブレーキと同程度の急激さに違いない。相当数の企業がまたマクロ状況の急変によって犠牲になりそうだ。

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