2012年9月28日金曜日

覚え書き ー 理論なき年金改革は困る

経済学には重複世代モデル(OGM:Overlapping Generation Model)があり、そこでは人生を2期に分け、第1期には仕事をして所得の一部を貯蓄して第2期に備える、第2期は仕事から引退して資産を取り崩しながら、人生を終えるというライフサイクル理論と一体化されて応用されている。

しかし、現状は明らかに違うよね、と。むしろ経済学に素人の人たちの方が真っ先に「おかしい!」と言うのだな。第1期には仕事はできない被扶養期だという。それはそうだ。確かに所得を稼いでくれるまでには18年ないし24年程度、職業によってはもっと長い人的投資の<懐胎期間>がある。

だからモデルとしては第1期は人的投資期間、第2期が就業期間、第3期が引退期間となり、第2期世代が第1期世代と第3期世代を扶養する。こういう方が現実には近いはずだ。そして、第1期の投資支出に応じて、第2期の生産性が決まり、第2期の生産性に応じて第3期に利用できる貯蓄資産額が決まる。こういう流れだろう。

第3期に含まれる老齢世代が資産を取り崩すのは仕方がないが、その取り崩しは消費支出でありリターンがない。同額を第1期の幼年世代への人的投資にあてれば、幼年世代が第2期に成長した時の生産性に反映される。そうすれば現時点の第2世代が第3期になったときの生活水準が上がる事になる。よって現時点の第2期世代と第3期世代とは利害が対立し、第2期世代と第1期世代の利害は概ね一致している。しかし、第1期世代は幼少年期にあり社会の政治的意思決定に参加する権利を与えられていない。意思決定は第2期世代と第3期世代とで行われる。このように3世代構成モデルの方が現実を説明するのにより適切であろう。

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朝方、カミさんとこんな話しをした。

小生: あれだね、還暦なんて平均年齢79歳の社会では年寄りでもないけど、50を過ぎると明らかに身体能力は衰えるし、60を超えると視力とか、注意力とか、格段に下がるみたいだね。65を過ぎて仕事を続けるのは、確かにつらいものがあるんだろうね。だんだん分かるようになってきたよ。

カミさん: だから年金があるんでしょ。

小生: だけどさ、生まれて20年扶養してもらって、65から80までの15年をまた養ってもらって、働くのは何年ある?

カミさん: 45年かな。

小生: 45年働いて、35年養ってもらうっちゃあ、大体半分の人は遊んでるってことだよ。昔は人間50年で、15で元服して、死ぬ間際に体が動かなくなるまで現役だったろ。15年育ててもらって、35年働いたわけよ。いまの社会、ちょっとおかしいよね。

カミさん: そうなってるんだから、仕方ないんじゃない?

小生: 二つしか方法はないと思うんだよね。平均年齢の80歳までは生きるって予想しておかないといけない。それで、平均年齢までは自分が貯蓄しておけってわけで、国は面倒をみない。80から後は、国が面倒をみる。もう一つはその反対で、80までは国が年金で面倒をみる。しかし80よりもっと長生きする可能性もある。それは人ごとに違うから、前もって自分で保険に入っておけ。これなら保険会社は経営できるからね。平均年齢を境にして、前を国がもって後を自分でなんとかする。反対に、前は自分で用意するから、後は国が面倒をみる。どちらかしか、実行可能じゃんないんだよね、理屈で言うと。現実は、65から後は、ずっと死ぬまで国が面倒をみる。こりゃあ、破産するのが当然さ。

カミさん: うちの子供達はどうなるのかなあ?

小生: 孫を育てるくらいのカネは残してもらわないとね。それが出来なきゃ、アメリカかオーストラリアに移住するしかないだろ。墓参りや法事は、時々、日本に帰ってやればいいんだから。


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