2012年6月16日土曜日

補足 − 「いままでのやり方では駄目だ」の世代対立

経済・社会・政治において「今までのやり方では駄目です」と言って、それが大成功をおさめると、それが即ちイノベーションになり、ニュービジネスモデルになる。しかしながら、ここ日本国では「今までのやり方では駄目だと思います」と言うと、「今までが間違っていたと言うのか?」と。そんな詰問が先輩の口から発せられることが多い。

これは戦略決定の是非と環境変化の有無を混同した話しだ。戦略決定では、賢いか愚かであるかが大事だ。環境変化の有無は、ライバル・状況をどう見るかという事実認識が大事だ。このように全体が情報分析になっているのだ。

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いまの状況をどう見るかですら合意は難しい。しかし合意はそもそも必要ではないのだ。ありうる将来を列挙する段階で見方が対立することは少ない。違うとすれば、どんな状況になりそうかという主観的確率であろう。しなければならない議論は、ありうる将来に応じて、どんな行動をとるかという<仮定上の議論>である。それをゲーム論では<戦略の決定>という。戦略とは<ライバル・環境に応じた行動計画>を指すのだ、な。

それでも、現状をどう読むかで、いま選ぶ行動は違ってくる。「今までのやり方は駄目なんです」と言う人と「間違っているというのか!」という人は、状況判断が違うわけだ。というより実質的には、頑張ってきた老世代と、これから頑張りたい青年世代との対立であることが多い。

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民族移動に応じて環境変化が激烈であった大陸諸国では集団的DNAのように戦略変更のモチベーションが引き継がれている。古くは中国戦国時代に「胡服騎射」を取り入れて軍事的勝利を得た趙がある。服装を蛮族のように変えて一人一人が騎兵となり戦車戦中心であった古代中国の戦い方を変えてしまったのだ。新しくは、高価な傭兵を中心に軍隊を編制して、犠牲を少なくする持久戦、機動戦を展開するという旧来のやり方を、徴兵を導入して安価な大軍を編成し、短期殲滅戦を展開した革命後のナポレオンのやり方がある。「勝つためにはやり方を変える必要がある」というのは、勝つチャンスに気づく、見つけることと同じであって、ただひたすら勝つことだけを考える姿勢がなした結果である。

ただマナーは大事なのだろう。やり方を変えるのは状況が変わったからであり、今までのやり方が愚かであった訳ではない。この点を認識しておくのは<和>を維持するには大事なことだろう。というより、状況変化を先読みして、それに応じた行動計画を準備し、その行動計画を次世代に託すというのが社会的な摩擦を最小化する、最良のソフトランディングなのであろう。この時、頑張ってきた上層部は「老兵は語らず、ただ消え行くのみ」。日本企業の社内文化で形成するべきことの一つとして、消えて行くマナーと否定するマナーがあろう。日本的な<和の文化>と<創造的破壊>を両立するには、触媒となるマナーを形成することが不可欠だ。

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