2012年6月5日火曜日

グローバル投機マネーは世界経済に貢献しているのか?

日本の株式市場が歴史的安値に沈んでいる。日本だけではない。米市場、欧州市場、アジア市場も下げているから世界同時株安である。

しかし細かく見ると、為替相場安と株安が同時進行しているヨーロッパがある一方で、日本は為替相場高と株安が並行している。確かに円ベースでは株安だが、ドルベースでは、あるいはユーロベースではそれほどの株安ではない。円で安くなっているものが本当に安いのなら、金も円ベースで1オンス12万円台で安値水準である。しかしドルベースでは久しぶりに1600ドルを超えた。金は上がっているというのが、世界の実態だ。同じように日本株も円では下がっているが、国際通貨ドル・ユーロではそれほど下がっているわけではない。

東京市場の過半、相当部分は海外投資家による取引であり、日本株を買うか売るかの判断は、ドルベース・ユーロベースで投資先を管理している中で判断されている。円が上がれば日本株を売って益出しを図るのは合理的行動だ。

投機は経済活動を行うすべての参加者にプラスの利益をもたらすというのは、確かに経済学のロジックだ。ここまではよい。

しかし、日本で起業し、日本で成長してから海外に進出しようと考えている日本企業の立場に立てば、円ベースの株価が(業績とはほぼ無関係に)長期的に下落する現状は、明らかに資本調達の便宜を損なっている。グローバル投資家は、日本企業に投資しようと考えて円を選択しているわけではない。日本円でマネーを保有していれば損をしないと予想するから円を短期間保有するだけのことである。だから円高を招いている。それが株安を引きおこしている。因果関係はこう解釈するべきだ。それは確かに海外資本の利益にはかなっている。しかし日本企業の利益には反している。海外投資家のプラスと日本企業のマイナスを合計してグローバルに考える視点は重要だが、世界のプラスのために日本の産業がマイナスを耐え忍ぶ必要は、本来的には、ない。

海外資本の利益にかなう状態を放置することで、日本企業の成長機会を奪うべきではない。

政策当局は、現物・先物為替取引に為替取引税を課し、同時に国内株式の売却益・配当課税を引き下げるべきである。一過性の小手先介入をやるかやらないか、グダグダと議論する世界経済状況ではなかろう。本質的に国益にかなう政策方針をとるべきだ。

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