2012年3月22日木曜日

欧州 — この複眼的・戦略的思考には驚く

ヨーロッパ全体で<経済成長第一>の考え方が急速に台頭しているようだ。
Überall in Europa heißt es derzeit, die EU müsse mehr Wachstum „schaffen“. Der französische Präsidentschaftskandidat François Hollande fordert Wachstumsimpulse für Europa, um sich gegen den Fiskalpakt in Stellung zu bringen. Der Chef der Eurogruppe bedauert, dass Griechenland bislang nur zum Sparen gezwungen worden sei und zu wenig „Wachstumsperspektiven“ eröffnet bekommen habe. Andere fordern einen „Marshallplan“ für Athen. Auf zwei EU-Gipfeln sind „Wege zu wachstumsfreundlicher Konsolidierung und beschäftigungsfreundlichem Wachstum“ beschworen worden. (Source: FAZ, 22.03.2012)
ただただ財政緊縮、節約、債務返済だけでは、生産全体が低下するだけであり、結果として債務返済すらも不可能になるのは分かりきったことだ。ケインズが創始したマクロ経済学は、このような経済状況で間違った政策を選択しないために誕生したと言ってもよいくらいだ。
Viele der aktuellen wachstumspolitischen Vorschläge haben mit „Europa 2020“ die Vorstellung gemeinsam, dass sich das Wachstum vor allem mit Geld vom Staat fördern lasse. Diese Vorschläge zielen nicht auf kurzfristige Konjunkturförderung, sondern auf langfristig wirkende staatliche „Investitionen“ ins Wachstum, etwa auf höhere Ausgaben für Forschung und Entwicklung, auf staatliche Infrastrukturprojekte, auf den Ausbau der europäischen Projektfinanzierung, etwa durch die von Barroso propagierten „Projektbonds“.
"Europe 2020"というのは、欧州が今後10年を対象期間として策定している<成長戦略>である。 まずは国家財政が成長を支えるという考え方がそこには出てきている。国家の存在意義は国民経済の成長を実現することにあるという基本認識だな — 日本では何かというとhow-toにばかり関心が向かい、理念は単なるお経と軽く見る傾向があると思うが、しかし基本認識が脆弱だと、わずかな状況変化ですぐに行動方針がぶれるものである。行動方針がすぐにぶれるのは戦略不在だからであり、戦略がなければ戦略的勝利もなく、得られる成果はチャンスをものにするチマチマとした得点だけである。この辺り、まず基本認識の足固めを盤石にしておこうとする欧州の思考スタイル。まことに羨ましく存じる次第なのである。

短期の景気刺激だけではなく、まずは教育・研究への支出拡大 ― 個々人の能力開発に国のカネを使うことは、個々人の所得能力を高めることで、どこで働くにしても生きていけるようにするわけだから、結果としてカネが生きる最大の道になる。更には、社会的インフラの建設のために公債で財源を調達できる新しい仕組みを整えることを欧州委員会のバローゾ委員長が提唱している。社会的インフラを新たな観点から充実させることは、ニュービジネスを域内に呼び込むための必要条件であるという認識だ。

ギリシアの全面的破綻は何とか避けられているものの欧州の先行きは依然として展望が開けない。しかしながら、欧州は限られた資金で経済を底上げしていこうと考えている。節約、緊縮一点張りではない。<複眼的思考>がそこにはある。考えている。知性的である。ただひたすら「どうしたらしのげるのか?」、「どうしたら助かるのか?」、そんな風に<やり方>ばかりを気にする日本のhow-to思考とはレベルが違う。

ここまで中枢機能のレベルが違うとなると、今後20年間で日本と欧米のパフォーマンスには又々大きな差ができて、気がつくと日本の生活水準は一人当たりGDPはおろか、GDP合計で見ても世界のトップ20から消え去るのではないかなあ、と。

中枢機能のレベル差・・・これはどうみても日本と欧米の教育理念の違い、教育システムの違い、教育予算の違いとしか思えない。

日本政府の責任で、毎年300人程度の10〜12歳児童を精選して選び、欧米の複数の国をまたいで、各国の超一流・全寮制教育機関に送り、以後その国に留まらせて徹底したエリート教育を受けさせるべきではないか。それが現状では効果的ではないか。東大の秋入学制度移行を待つユトリなどもうないのではないか、と。もちろん派遣した児童の半数程度は祖国・日本には戻らないだろう。しかし、日本出身の有為の若者が日本の外で活躍することは日本の国益にかなう。たとえ若者が日本に戻らずとも才能ある若者の教育に国費を投入することには十分意味があるだろう。

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