2011年10月4日火曜日

自己破壊行動とその動機は今や研究テーマである

日本統計学会のメーリングリストで以下のような研究会の案内が回ってきた:

この度10月14日に「自殺リスクに関する研究会」を開催させていただく事になりましたので,ご連絡申し上げます.

日本における自殺の統計について,また自殺の対策についてなど様々な視点からの現在行われている研究について報告があります.また,研究報告ののちに「意見交換会」も設けておりますので,
是非ご参加いただければ幸いでございます.

どうぞよろしくお願いします.

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「自殺リスクに関する研究会」

日時:2011年10月14日(金),10:30~15:30
場所:統計数理研究所(東京都立川市)
3階 セミナー室5(3階 D313,D314)
(14:30~の意見交換会は,5階 A512)
参加費:無料
参加登録:不要

プログラム:
10:30~10:35 開会挨拶・趣旨説明 椿 広計(統計数理研究所)
<10:35~11:45 座長:久保田 貴文(統計数理研究所)>
10:35~10:45
「空間自己相関および集積性の指標を用いた自殺死亡データの地域特性」
久保田 貴文(統計数理研究所)
10:45~11:05
「自殺死亡データの時空間集積性について」
石岡 文生(岡山大学)
11:05~11:25
「日本人自殺者データの時間およびその期間差に注目した時空間集積性」
冨田 誠(東京医科歯科大学)
11:25~11:45
「日本の自殺希少地域に共通する地理的特性の分析―1973年~2002年の
全国市区町村自殺統計より標準化死亡比を用いて―」
岡 檀(慶応大学大学院)
<11:45~13:00 昼 休憩>
<13:00~14:10 座長:椿 広計(統計数理研究所)>
13:00~13:20
「自殺死亡データの地理空間相関分析-死別・失業と自殺の関係について-」
久保田 貴文(統計数理研究所)
13:20~13:50
「自殺対策の現状と自殺予防総合対策センターの研究紹介」
*竹島 正(国立精神・神経医療研究センター),
立森 久照(国立精神・神経医療研究センター)・*山内 貴史(国立精神・
神経医療研究センター)
13:50~14:10
「社会人口統計指標による地域分類と自殺死亡に関する分析」
須賀 万智 (東京慈恵会医科大学)
<14:30~15:30 意見交換会 場所を5階A512に移動して行います>

× × ×

ずいぶん以前より、日本の自殺率の高さは国際比較をしても歴然としていた。ようやく真剣な研究テーマとして注目されてきたようだ。毎年、交通事故で落命するよりも多くの人が自ら命を絶っている現状は大変悲しいことではないか ― 反面、南北アメリカ大陸では他殺率が高い。これまた悲惨なことである。

人間が生きていく上で直面するリスクは数多くある。たとえば失業リスク、転勤リスク、降格リスク、収入変動リスク(≒景気変動リスク)、更には人間関係悪化リスク、離婚リスク、冤罪リスクなども挙げられるだろう。

リスクというのは、うれしい誤算と裏腹の関係にある。うれしい誤算でダメになる人もいるが、想定外のネガティブ・リスクを乗り越えることができずに、そのままドロップアウトしてしまう人が本当に多いのが現代の日本である。中国、ロシアなどと並んで日本人の幸福度指標が低いのは、リスク対応が下手で、現実世界の不安定性がそのまま生きる個人の不安、暮らしの不安に直結しているためだと考えられる。

リスク対応力。即ち、資本主義であれば保険サービス分野の商品開発力でもあり、その開発を柔軟に認める行政当局の態度でもある。社会民主主義であれば、政府や議会の制度設計力でもある。この両方において、日本は実質、精神ともに中途半端であり、徹底していない。そのため、個人でも核家族でも抱えきれない、対応しきれないほどの大きなリスクに日本人は翻弄されている。これが現状なのではあるまいか。日本の自殺率が高止まりしている根因はこんな風に言えるのではないだろうか?

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