2011年8月16日火曜日

韓国の不動産神話崩壊?

毎月曜日の日本経済新聞朝刊には「景気指標」というページがある。主要経済データの表が1ページ全面で掲載される。経済学を勉強するゼミ生には、その景気指標欄は必ず見るように話していたのですね。特に、個別の数字が上がっているか下がっているかだけではなく、毎週テーマが変わる解説記事は必読ですよ、と。最近はビジネスマン学生が主となったので、引き合いに出すのも大分減ってはきたが。

今日は火曜日だが、今朝、例によって「面白い話題はないかなあ・・・」と見ていると景気指標がある。そうか、昨日は終戦記念日だったよなあ、だからだな。解説記事は・・・ン?韓国も不動産神話が崩壊?これは面白いねえ、というわけで本ブログにメモっておこうという気になる。

韓国の実質GDP成長率は2010年が6.2%。2009年は0.3%だったから劇的回復だ。ところが解説によると、ソウル首都圏のマンション価格は低迷を続け、このところ16週連続で下落しているという。

朝鮮日報の論説主幹によれば、日本の生産年齢人口のピークは1995年。日経ダウが下落し始めたのは90年初からである。韓国の生産年齢人口のピークは今から4、5年後に来る。日本のパターンをそのままたどると、資産価格下落傾向に入ってもおかしくない時機である。<危険水域>にいつの間にか入ってきた。そんな危惧が韓国内には漂っている由。

韓国は55歳定年が多い。ところが年金の支給開始が65歳で10年間の無年金期間がある。預金は平均で400万円だが、住宅ローンの残債が平均で600万円あるという。これは非常に危うい家計状況なわけである。これから予想されるのは、リタイア後の生活資金作りのために持家を売却する世帯が増えるのではないか。これは住宅市場にとって相当の下落プレッシャになる。いつ不動産神話が崩壊してもおかしくない状況になってきた。そんな悲観的見通しを韓国のKB金融経営研究所が発表したというのだ。

こんな解説記事を読んで「韓国もこれから生活が苦しくなるみたいだねえ・・・預金をはたいてもローンを返しきれないとなるとなあ」とつぶやくと、小生のカミさん曰く「一緒に住んでる子供たちが親の面倒をみるから、困らないんじゃない?家は代々伝えていけばいいんだから」。

なるほど。その手があったよなあ。預金をはたいて無一文になって、それでも住宅ローンの残債が残ったとしても、子供たちが家を相続するつもりで、返済すればいいわけか。無年金10年間は、子供たちが恩返しに面倒をみればいいわけか、と。ふ~む、誠に「しろがねも こがねも玉も なにせむに まされる宝 子にしかめやも」であるのだなあ。

ただ、待てよ・・・55歳でリタイアするとして、子供たちは上の息子(娘)が大体、25歳から30歳くらいか。まだまだ若手で、あんまり収入も多くはない。子供はまだ小さく養育費はかからないとしても、両親の生活費を払えるかなあ?そうだ。<無年金特定親族扶養控除>を退職老親に認めてやって、所得控除とか税額控除をしてやればいい。その控除額も年収の増加に伴って抑えていき、ある金額以上の収入を得ている子供世帯には控除はゼロとする。で、65歳になって両親が年金を支給されるようになれば、子供世帯も控除を受けられない。こうすればいいのでないの?

年金という形ではないが、子供の税金をまけてあげて、子供が親にお金をあげるのだから、実は年金と同じである。というか、甲斐性のある子供がいるのなら、ずっと子が親の面倒を見ることにしておいて、はなから老齢年金は減額してもいいのじゃないか?収入の低い子供世帯には、多めの控除を認めておけば、最低限の国庫負担で<福祉国家>が建設できるではありませぬか?「身体髪膚、すべてこれ父母に受く。敢えて毀傷せざるは孝のはじめなり」。モラルを政治利用していけないはずがない。それでも残る低収入老齢世帯だけは、生活保護制度で救済すればよい。

ここまで徹底的に割り切ることができれば、財政再建は1日にして成る。ま、できればの話である。

× × ×

経済データの方もざっと見た。

消費者物価指数は、2009年度が1.6%の下落。2010年が0.8%の下落。2011年度もずっと前年比マイナスを続けていて、直近の6月はマイナス0.2%。恐慌ではないが、これをデフレと言わずして、何をデフレと言う。先日、CPIは基準改定が行われ、物価下落品目のウェートが上昇した。値下げ品目の動向が旧基準指数より強く出るようになったのだ。パーシェ効果である。

生産は、鉱工業生産指数が2008年度にマイナス12.7%。2009年度は3月に底打ちするも年間ではマイナス8.8%。2010年になって8.9%のプラス。前年の低下を取り戻す。2011年に入ってからも、前年比でプラス水域にあったが、大震災で再び前年比でマイナス15.5%(4月)。ところが、速やかに立ち直って、現在の生産水準は昨年の10月時点とほぼ同じ高さだ。稼働率は、と・・・稼働率も今年6月と昨年10月が大体同じ。製造業の生産現場は、昨年10月頃と同じレベルにまで戻っている。

ポスト・リーマン、大震災前がいまの生産状況だ。

実質GDPも4~6月期の速報が8月15日に公表された。季節調整済み前期比で0.3%減。年率ではマイナス1.3%だ。減ってはいるが、このマイナスは予想ほどではない。日本経済はもはや「大震災直後」ではない。

先行指標はどうか。

まず景気動向指数の先行指数は、前月差で5月からプラスになっている。レベル的には大震災直前の2月とほぼ同じ景気状況にまで戻っている。現場の生産よりも前を走っているようだ。

国際商品市況は、ロイターが昨年末にかけて急上昇したが2011年に入ってから下がっている。日経国際商品指数の方は・・・下がっている。こちらは本年4月がピーク。以後、下げている。国際商品価格の低下は世界景気の停滞、新興国の金融引き締めが大きい。円高・政治・海外景気。これが日本にとっては心配のタネということだが、むしろ怖いのは、先行き不透明感。ボラティリティの拡大の方だろう。

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