2011年4月29日金曜日

今後の生産の皮算用

昨日(28日)公表された鉱工業生産指数の中身は以下のようだった(経済産業省HPより):


1. 生産
 3月の生産は、前月比▲15.3%の低下(前年同月比は▲12.9%の低下)となり、指数水準は82.9(季節調整済)となった。生産の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、化学工業(除. 医薬品)等であった。品目別にみると、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品、小型乗用車の順に低下に寄与している。


2.出荷
3月の出荷は、前月比▲14.3%の低下と2か月ぶりの低下(前年同月比は▲11.8%の低下)となり、指数水準は85.3(季節調整済)となった。出荷の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、化学工業(除. 医薬品)等であった。



3.在庫
 3月の在庫は、前月比▲4.3%の低下と4か月ぶりの低下(前年同月比は3.4%の上昇)となり、指数水準97.6(季節調整済)となった。在庫の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、一般機械工業等であった。
 3月の在庫率は、前月比4.0%の上昇(前年同月比は4.9%の上昇)となり、指数水準は108.5(季節調整済)となった。  (以上)


特に乗用車の生産が全体の低下に寄与したというのは予想通り。在庫をみると輸送機械(乗用車ほか)が減っている。これは生産が低下したので在庫を取り崩して出荷したため。これとIT関連が在庫減。被災した東北地方にはITメーカーが集まっている。サプライチェーンが寸断され部品在庫で何とかしのいだが、夏前に在庫切れになるという報道はこの関連だ。それにしても、想像したほどの大幅在庫減になっていない。生産低下が急速だったから、在庫率は上がり、産業全体ではかえって荷もたれ感があるくらいだ。マイナス方向の生産スピード調整すら起こりうる。


ただ4月、5月の予測は以下のとおり(経済産業省HPより):


 製造工業生産予測調査によると、4月は前月比3.9%の上昇、5月は同2.7%の上昇であった。4月の上昇は、一般機械工業、輸送機械工業、電気機械工業等により、5月の上昇は、一般機械工業、情報通信機械工業、化学工業等による。

3月の実現率は▲19.8%、4月の予測修正率は▲15.9%となった。(以上)


15%低下して夏までに低下分の半分を埋めることができるかどうか。残り半分を秋までに埋めて、10月以降は復興需要顕在化で急速拡大!?。

多分、政府はこんな皮算用を描いているのであろう・・・とらぬ狸か。


大体、エネルギー事情が根本的に悪化しているのに、元に戻れるのか?
成長戦略の議論を早く再開して、先取りしていかないと。エネルギー計画見直しも遅々としているし、全くどうなっているのでしょうね。

マグニチュード8クラスの地震が東京直下で近日うちに起こったら乗り切れるのか。政府機能を分散化する議論すらされていない・・・(国会があるからだろう)・・・いまの内閣に危機管理意識は本当にあるのだろうか?甚だ疑問だ。


最後にもう一つ補足。原発への国民感情が悪化していて、どの電力会社も運転再開をためらっている。東電管内で電気が足らないから西日本から回してもらおうと考えて、周波数変換増強などと言っているが、西日本でも夏には電気はそうそう余らない方向だ。これも絵に描いた餅だ。

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